ポーランド東部、ワルシャワから80キロメートル離れたブズラ川沿いに位置するŁOWICZ(ウォヴィチ)は、12世紀から16世紀にかけて、ポーランド王国の重要な拠点として栄えましたが、17世紀のスウェーデン侵攻で町は破壊され、その後も、18世紀の国土分割、20世紀の二度の世界大戦などで、幾度となく破壊と復興を繰り返してきました。
1990年代の民主化以降は工業を中心に発展し、現在では、乳製品、ジャムなどが有名な中堅都市としてポーランド経済を支えています。
切り絵 の歴史 Wycinanki Łowickie
ウォヴィチに伝わる切り絵(Wycinanki Łowickie ヴィチナンキ ウォヴィツキェ)がいつから始まったのか、明確な資料は残されていません。19世紀半ばには、民家の窓の装飾として初めて登場し、19世紀末には、カラフルな切り絵に発展していきました。ウォヴィチの切り絵は、装飾だけでなく、クリスマスやイースターなど、カソリックの祝日、あるいは婚姻や出産など、家族の重要なお祝いの時に部屋の天井に飾られ、魔法(魔除け)の意味も持ちあわせます。
またウォヴィチの切り絵は全て手作業で描かれ、同じものは二つとしてありません。
色の種類は30色に達し、コラージュのように組み上げられていきます。
切り絵には主に三つのスタイルがあります。
1. リボン (縦長)
2. 星(円形)
3. コドラ(長方形)
リボン
画像の下方に見られる花模様のラインが相当します。
左右対称、リボンのように真っ直ぐな形状で描かれます。
円形の星
Okrągłe GWIOZDY(円形の星)と呼ばれるモチーフです。
左右の対称性は、紙を数回(通常は8回)、折りたたむことによって形成されます。
コドラ(長方形)
コドラ Kodra は、長方形の白い紙をベースとして構成された切り絵です。
村の結婚式、畑仕事、花や果物をモチーフとし、ポーランドの民俗と暮らしを反映した絵柄になっています。
上記の画像は『4ka(チュフルカ)』のグリーティングカードです。
会社情報は 4ka(チュフルカ)をご参照下さい。画像はメーカーの許可を得て使用しています。
動画で紹介 ウォヴィチの切り絵
ウォヴィチの伝統的な切り絵 Wycinanka Łowicka の作り方について解説している動画です。
ウォヴィチの切り絵に製造システムは存在せず、すべて手作業で作成されています。
バプチャ(おばあちゃん)のハサミ使いに注目。
デザインもそうですが、折りたたんだペーパーをどのようにカットすればニワトリや花になるのか、その立体感覚にも驚嘆させられます。
また切り絵によって紡ぎ出された絵柄は、刺繍や木工にも応用され、メルヘンのような世界が広がります。
ウォヴィチの魅力はなんと言ってもカラフルな民族衣装。
黒を基調とした色使いや華やかなボーダーに目が釘付けになります。
動画は伝統の宴を再現したもの。
天井からカラフルなリボンが下がっているのは、単なる飾りではなく、魔を除け、幸福を呼ぶ、まじないの意味もあります。
高齢男性でも花飾りが似合うのがウォヴィチの魅力です。
ウォヴィチの世界観をそのまま再現したような民族衣装と舞踊。
エプロンの重ね着や編み上げブーツが人形みたいに可愛いですね。
ウォヴィチのジャムと乳製品
ウォヴィチのジャム。果物のプチプチ感が絶妙な人気商品です。
お菓子作りに欠かせない、ウォヴィチの乳製品。
バター、生クリーム、サワークリーム、フェタチーズなどが人気です。