ポーランドの養蜂業

18 1月 2010

ポーランドの蜂蜜酒を語る上で欠かせないのが、これらの産業を支える要である「養蜂業」です。

郊外に行くと、普通の民家の庭先に、写真のようなミツバチ小屋がたくさん並んでいる風景をよく見かけます。

多くは、企業と業務提供を交わし、メーカーに蜂蜜を仕入れているところが多いのですが、自営で瓶詰めしたハチミツにラベルを貼り、地元の市場で販売したり、自家製の蜂蜜酒を作ったり、蜜蝋(写真後方)を作ったり、という家も多いです。

ちなみに、ポーランド製の蜂蜜は日本にも輸入されており、ポーランドにおいて重要な産業であることが明らかです。

ミツバチの小屋

ミツバチの小屋

 
ミツバチ小屋

ミツバチ小屋

 


写真:Pszczelarski blog Piotra「養蜂業ピョートルのブログ」

「ポーランドって、どんな所ですか?」と聞かれたら、「北海道を4~5倍に引き延ばしたような感じ」と答えます。

果てしなく広がる地平線、一面の麦畑や森林、川、湖。

山岳地帯は、スロヴァキアの国境にあるだけで、後は、数百メートル級の山が所々に連なるのみ。

日本とはスケールの違う花の群生や農耕地も多く、ミツバチの飼育がしやすい環境だと思います。

一方で、相手が「ミツバチ」だけに、危険を伴う、大変な作業でもあり、業者さんのご苦労がしのばれます。

ラベンダーとミツバチ

ラベンダーとミツバチ

 
蜜蝋

蜜蝋



甘味としてのハチミツと洋食文化

10 1月 2010

私も日本に居た頃は、ハチミツなんて年に一回買うかどうか、たまに気が向いた時、ホットケーキのシロップに使うぐらいで、商品棚をチェックすることさえありませんでした。

しかし、ポーランドに来てから、その消費量は毎月1000ml超え。

市場で買ったオール・ナチュラルのハチミツ250ml入りボトルがあっという間になくなってしまうのですから、本当によく食するようになったとつくづく思います。

ちなみに、私のこだわりアイテムは、「蕎麦の蜜」と「針葉樹の蜜」です。

主な使い道は、「料理」「シリアルやケーキのトッピング」ですが、やはり一番量を使うのが「お茶の甘味付け」です。

紅茶やハーブティーは言うに及ばず、緑茶にもたっぷり使います。

「緑茶」と言っても、いわゆる「煎茶」や「玄米茶」のような日本茶とは大きく異なり、一口に言うなら「紅茶の緑バージョン」。

紅茶から紅色を抜いたような苦みと渋みがあり、ストレートで飲むのはかなりきついため、どうしても甘味が欲しくなるのです。

もちろん、ポーランドの人がみなお茶の甘み付けにハチミツを使っているかと言えば決してそうではなく、白砂糖を使っている家庭も多いです。

ただ、美容と健康を考えるなら、工場で大量生産された白砂糖を使うより、天然のハチミツの方が栄養面でも、味の面でもはるかに優れていることから、我が家では「ハチミツ」が欠かせないんですね。

では、なぜ、それほど甘味のきいたお茶が欲しくなるのか。

理由の一つには、「洋食文化」があると思います。

たとえば、和食の場合、肉じゃがでも、おでんでも、うどんでも、味に立体感を出すために少量の砂糖を使いますよね。

でも、洋食は、バター、生クリーム、ハーブ、スパイスで、肉の臭みを消し、味に味を重ねてゆきます。

和食の「素材の旨味を引き出す」というのとは、ちょっと趣が異なるんですね。

洋食の場合、料理にほとんど砂糖を使わないせいか、食後に、モーレツに甘みが欲しくなります。

そこで「デザート」。

食事が終わると、必ずと言っていいほど、ケーキやクッキーが出てきます。

男性でも、生クリームがたっぷりのケーキをむしゃむしゃ。

この辺りで、「食文化が違うなぁ」とつくづく思うわけです。

Koracjaと蜂蜜酒

Koracjaと蜂蜜酒


我が家では、甘味の補給に、ハチミツたっぷりのお茶を出すようにしています。

レモンとハチミツが利いたハーブティーや紅茶を飲むと、不思議とケーキやクッキーを欲しいと思わなくなるからです。

お茶の甘味はもちろん、料理の味付けやトッピングに欠かせないハチミツ。

特に、醤油との相性は抜群なので、砂糖の代用として取り入りてはいかがでしょうか。

夜食(Kolacja)と蜂蜜酒

21 12月 2009

その昔、ポーランドの伝統的な食事スケジュールは、

 

朝6時 śniadanie(朝食)・・サンドイッチ、オートミールなど

朝10時  drógi śniadanie(第二の朝食)・・サンドイッチ、オートミールなど

昼3時 obiat (夕食)・・メインのディナー

夜8時 Kolacja (夜食)・・サンドイッチ、オートミールなど

 

日に4回が習慣でした。

共産主義時代は、就業時間が朝7時~午後3時なので、このスケジュールが理に適っていたのです。

それは今でも変わりません。

アメリカ風の企業が増えつつある傍らで、依然として昔ながらのスケジュールを貫いている企業・役所も多く、朝7時就業の方は、6時に朝食を食べ、正午前に再び軽い食事をとり、午後3時に帰宅するとobiat(メインのディナー)を食べて、夜8時にもう一度軽く腹ごしらえをする、という生活を今も続けておられます。

(ゆえにポーランドの道路は午後3時~4時に一番混み合います)

ということは、まともな食事は『一日一回』なわけですが(日本のように、昼=カツ丼定食、夜=ぶりの照り焼き、小鉢、味噌汁のような、ダブル・メインではない)、これが案外健康によろしくて、午後3時頃にこってりしたメイン料理をとってしまえば、就寝までにほとんど消化されるので、太りにくいんですね(酒とハムを過剰摂取さえしなければ)。

美味しく食べて痩せる秘訣は「昼にどっさり食べて、夜は軽食にする」だとつくづく思います。
(ちなみにポーランド女性はたいてい7号体型です)

 

ポーランドのKolacja(夜食)

ポーランドのKolacja(夜食)


そう考えると、ポーランドの人は一日中サンドイッチを食べているような印象がありますが、「サンドイッチ」といっても、「ハムサンド」とか「卵サンド」みたいなアレではなく、Kanapki(カナプキ)と呼ばれるオープンサンドです。

和食にたとえれば、白ご飯の上に明太子や塩昆布や焼き鮭をのせて「う~む、ご飯がすすむ」と顔をほころばせる感じ。

 

焼きたての、オールナチュラルなパンに、ハム、チーズ、トマト、レタスなどをのせてかぶりつく。

これがパン主食圏の人々にとって、「う~む、夜食がすすむ」の世界なのです。

 

そんな夜食のお供にピッタリなのがMiód Pitny(蜂蜜酒)。

食前、小さなショットグラスに注いで、食前酒としていただきます。

 

 

Półtrak Jadwiga(プウトラク ヤドヴィガ)

Półtrak Jadwiga(プウトラク ヤドヴィガ)


今回、いただいたのは、一番星のPółtrak Jadwiga(プウトラク ヤドヴィガ)。

さすが水1リットルに対し710グラムもの蜂蜜が含まれているだけあって、こってりした甘みは随一。

聞いた話では50種類以上の薬草が使われているそうで、まさに「味のブーケ」と呼ぶにふさわしい華やかさです。

Kanapkiに使うハムやソーセージが塩辛いので、蜂蜜酒を合わせると、程よくマッチ。

ウォッカのように飲み過ぎないので、健康にもいいかもしれません。

ポーランド料理 美味しさのヒミツ

16 12月 2009

一度でもポーランドに旅行して、郷土料理を味わった方なら、その美味しさにきっと感動されたことと思います。

ピエロギ、レッドボルシチ、ビゴス、ジューレック、キノコのスープ……etc。

フレンチでもなく、イタリアンでもなく、どんな『洋食』にも当てはまらない、新しい味との出会い。

それが『ポーランド料理』です。

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[flickr float="right" size="small"]http://www.flickr.com/photos/martinkelly/2416133108[/flickr]
洋食でありながら、どこか懐かしく、親しみを感じさせるメニューの数々。

そのヒミツは、北海道を思わせる、豊かで広大な大地にあると言えるでしょう。

たとえば、町中の家の庭に当たり前のようにリンゴ、洋梨、ラズベリー、さくらんぼが生っている。

実りの季節になると、庭先のリンゴをかじりながら、カゴいっぱいに摘んだラズベリーで自家製のジャムを煮る。

そんな光景、日本ではなかなか間近に見ることができないのではないでしょうか。

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歴史を振り返っても、ロシア、プロイセン、フランス、オーストリアといった欧州列強の支配下に置かれ、ベルリンの壁が取り除かれた実に1989年に至るまで、真の意味での自由独立はなかったポーランド。

列強諸国がこの国を支配したがった理由の一つには、一年を通じて美味しい作物を育む大地の豊かさがあったといっても過言ではありません。

しかし、列強の支配下に置かれた苦しい時代にも、各家庭では、伝統の味が受け継がれてきました。

常に物不足は当たり前、先進諸国の豊かさとは切り離された社会環境にあったからこそ、インスタントやレトルトに頼らない、昔ながらの料理法が今にしっかりと伝えられてきたのだと思います。

何かと言えば「調味パウダー」「○○の素」「冷凍○○」「人気パティシエの○○」に依存しがちな日本人からすれば、ピエロギ(ポーランド風餃子)の皮やマカロニを小麦粉からこねたり、自宅の庭先にミツバチを飼って蜂蜜を集めたり、山で摘んだキノコでピクルスを漬けたり、大きなボトルを何本も用意して果実酒を地下室いっぱいに作ったり……というのは、尊敬せずにいないくらいだけれど(私なら出来合のものを買う)、ポーランドの人に言わせたら、

だって、手作りの方が美味しいでしょう?

ごくごく自然な生活の一コマなんですね。

[flickr size="small" float="right"]http://www.flickr.com/photos/tathei/239936174[/flickr]
ポーランド料理と出会うことは、自らの価値観を振り返ることでもあります。

「ああ、こんな生活が、今も残っているんだ」と気付いた時、それは単なる「ランチ」ではなく、『文化との邂逅』になるのです。

ポーランドの蜂蜜酒は冬のリゾートがよく似合う

16 12月 2009

「甘いお酒」と言うと、梅酒みたいに冷蔵庫でキリっと冷やし、レモンを添えて……というイメージがありますが、ポーランドの蜂蜜酒は冬の寒い日にHOTで飲むのがおすすめ。

もちろん、Gożdzikiを添えてね。

gożdziki(ゴジキ)

gożdziki(ゴジキ)

Godzikiは英名「クローブ」、日本では「丁字」と呼ばれる香辛料で、鼻につーんと抜けるようなスパイシーな香りがします。
西欧では古くから豚肉や牛肉の臭い消しに使われ、日本でもカレーやステーキなど洋食を引き立てるスパイスとしてよく使われています。

そしてこのクローブ、ビールやワインに加えて、とろ火で温めると、非常に香り豊かな飲み物になります。

grzany wino(ホットワイン)

grzany wino(ホットワイン)


特に冬の寒い日、かじかんだ手を温かい陶器に当てて、ちょびちょびといただくgrzane piwo(ホットビール)やgrzane wino(ホットワイン)の味はまさに雪国の妙。

日本のおじさん達が、北海道の港町の居酒屋で、熱燗をいっぱいやりながら「うめぇ~~」と唸るのと同じく、ポーランド人もgrzane(温めた)なビールやワインを片手に、「fajnie :)」(=ファイネ 素晴らしい)と笑みをこぼすわけですね。

こちらはGrzany miód pitny(温かい蜂蜜酒)の作り方。

750mlの蜂蜜酒にオレンジピールとシナモンを少量、カップに半量のGodzikiを加えて、10分から15分ほど弱火で温めます。
美味しく作るコツは、沸騰させないこと。

よく温まったら、kufel glinianyと呼ばれる土製のジョッキやKubek(マグカップ)に注いでいただきます。
左がジョッキ、右側がマグカップ。

kufel gliniany

kufel gliniany

Kubek

Kubek


冬の山岳リゾートで見かける蜂蜜のスタンドはまた格別。

ハチミツ、蜂蜜酒はもちろん、はちみつで作ったロウソクや、アーモンドの蜂蜜漬けなどを売っています。

[flickr size="midium"]http://www.flickr.com/photos/ssylwia/3156561865/[/flickr]