prawo jazdy (1) ポーランドで自動車運転免許を取得する
※ これらの情報は2008年度のものです。規定や基準は年々変わっていますので、必ず自治体の交通課もしくは自動車学校で確認してください。※
§ はじめに
海外生活の自立において不可欠なのが、「自分で何処でも移動できる」という事です。
市内は言うに及ばず、近隣の町、遠くの観光都市、しいては隣国まで、周りのサポートが無くても自分ですいすい移動できてはじめて、現地生活の快適さや「この国の住人になった」という実感が得られるのではないかと思います。
ポーランドも、都市部においては交通が整備され、ちょっと町中を移動するぐらいならほとんど不便は感じませんが、生活が本格化し、子供の学校の送り迎えやハイパーマーケットでの買いだめ、友人・親族との小旅行など、「マイカー」が必要になってくると、「自分で運転できない」というのは物理的にも精神的にも大きな負担になることがあります。(いつでも夫・家族・知人らに依存しなければならないので)
かといって、右側通行のこの国で、しかも、オートマ車ではなくミッション車ばかりの環境で、「すぐに自動車を運転する」というのは、たとえ日本で免許を取得し、いくらかの運転歴があったとしても、「かなりの危険を伴う」といっても過言ではないと思います。
何十年も安全運転しているようなベテラン・ドライバーならともかく、ほとんどペーパーに近い人や、日本ではAT車ばかりで路上でMT車を運転した経験が少ない場合、日本では馴染みのない環状道路(ロンド)、信号のない交差点での優先表示(地方に行けば町中でも信号のない交差点が多いです)、右折信号や左折のタイミング(日本と逆になります)、中央分離帯での転回など、実際に現地で運転してみたら「危ない」と感じることが多いからです。
現在は、書面によるポーランド免許への切り替えも可能で、誰しもが現地で教習を受ける必要はありませんが、『安全運転』を第一に考えるなら、現地免許の取得とまではいかなくても、路上教習だけでも受講されるのが望ましいと思います。
(『路上教習のみ』の場合、60分=40~60PLNが相場です。時間数は、技能の上達を見ながら、インストラクターの指示を仰ぐといいでしょう)
また、日本での運転歴があっても、
・日本の運転免許の期限が切れている
(免許の取り直しは必須)
・AT限定免許である
(現地の管轄部署に要確認のこと。AT限定免許でMT車を運転すると、違反に相当することがある)
といった問題がある場合、ポーランドで新たに運転免許を取得する必要があります。
★参照記事
日本の運転免許証の有効期限が切れた場合
http://www.pl.emb-japan.go.jp/konsulat/j_untenyukokigen.htm
我が国運転免許証の返還について
http://www.pl.emb-japan.go.jp/konsulat/j_menkyo_henkan.htm
一般に「普通自動車免許」として認識されている免許証は、ポーランドでは「Kategoria B」になります。
ここでは、ポーランドでの自動車運転免許の取得の流れと、学科・技能教習および本試験の概要、現地の交通事情など、運転に役立つ情報を掲載しています。
情報は、2008年度の教習および試験に基づいています。
内容については、管理人が理解した範囲に限られますので、最終的な確認はご自身でお願いします。
§ 免許取得の流れ
1. スクール申し込み
2. 学科を受講 Zajęcia teoretyczne (30時間)
3. 仮の学科試験
4. 路上教習(30時間)
5. 本試験の申し込み
6. 学科+技能試験
7. 交通課での手続き→免許交付
(1) スクール申し込み
学科および路上教習は、いわゆる「自動車学校」に相当するSzkoła Jazdyで受講します。
スクールの形態は、大手グループが運営する自動車学校から、ライセンスを持つ個人が開講する私塾のような教室など様々です。
私は、高校の教師で、自動車教習のライセンスも持つ女性が個人で開講している私塾のような教室に通っていました。
(路上教習はご主人が担当。夫婦善哉のようなスクール)
受講スケジュールの組み方はスクールによって全く違うので、免許取得を急ぎたい場合は、申し込む際によく確認しましょう。
(日本のようにスケジュールがコンピューターで管理されて、空いた時間にいつでも受講可能・・というスクールばかりではありません)
申し込み資格としては、短期・永住にかかわらず、現地でビザを取得されて、社会保険に加入していれば、特別な許可や書類は必要ありません。(出生証明書や婚姻証明書など)
スクールの受講、および本試験申し込みに提示を求められるのは、「PASEL 社会保険番号」と「karta pobytu 身分証(ビザ)」です。
ワルシャワやクラクフのような大都市では、英語で対応している外国人向けのスクールもあります。(講義、試験とも英語)
ワルシャワの場合、こちらのスクールが有名です。
Imola :
http://www.imola.com.pl/index_en.php
■ 情報収集に役立つサイト ■
Prawo Jazdy
自動車免許取得に関する知識からスクール情報、標識一覧、フォーラム、オンラインテストまで、免許に関する様々な情報を公開中。英語のインフォメーションも少しだけあります。
http://www.naukajazdy.pl
Prawo Jazdy.com
免許に関する基礎知識、テキストの通販、オンラインテストなど。
http://www.prawojazdy.com.pl/
■ 免許取得に必要な講義の単位 ■
・学科 30時間 (1時間=45分)
・路上教習 30時間 (1時間=60分)
最初に学科を受講して、仮の学科試験を受かれば、路上に出ることが出来ます。
仮の学科試験は各スクールにて行われます。
■ 免許取得に必要な受講料 ■
免許取得に必要な費用は、地域やスクールによって大きく異なります。
必要な費用は次の通りです。
1) 学科+路上教習
2) 健康診断 badania lekarskie na miejscu w ośrodku
3) 本試験
4) 補習
(1) 私が受講した個人のスクールでは、学科+路上教習合わせて1200PLNでした(2008年現在)。
大都市の有名スクールだと、2000PLNぐらいするようです。(外国人向け英語コースはさらに高めかも?)
(2) 指定医による健康診断(高血圧、糖尿などの持病がないか、アルコールの摂取量はどうか、など)
あらかじめスクールの受講料に含まれている場合もあれば、医師に直接、診断料を支払う場合もあります。
私の場合、1時間ほどの診察で50PLNでした。
(3) 試験料は、Kategory Bの場合、学科と技能試験を合わせて134PLNでした。
何度も試験を受け直す場合は、その都度、同じ料金がかかります。
(4) 試験に落ちて補習が必要な場合、個人的に申し込むことが出来ます。
相場は、60分=40PLNです。
これも個人によって異なり、60PLNかかるケースもあるようです。
本試験の前に、馴らしのレッスンとして補習を受けることもできます。(これが効果的)
日本では、「基本料金+年齢×補習料」なんてことが言われていますが、ポーランドでも個人の技能によってかかる経費が大きく異なる点は同じです。
「補習なしで一発合格」が理想ですが、技能試験の合格率は34%という厳しさで、5~6回受けている人も少なくないとか。
技能に自信がない場合、基本料金の2倍はかかる・・と想定した方がいいかもしれません。
(2) 学科を受講 Zajęcia teoretyczne
まず最初に学科を受講します。
規定の受講時間は、30時間(1時間=45分)です。
スケジュールの組み方は、スクールによってまちまちで、私の場合、週に3~4回、1日に2~3時間を受講して、全過程を約3週間で消化しました。
DVDビデオをかけっぱなしの日本の学科講習と違い、交通法規、標識、運転技術、エンジンの仕組みなど、本格的な講義が行われます。
私の受講したクラスではテキストはなく、すべて口頭での書取でした。かなりキツかったです。

(3) 仮の学科試験 Egzamin teoretyczny
路上に出る前に、仮の学科試験を受けます。(各スクールで行われます)
内容は、本試験の学科試験と全く同じです。
学科試験の詳細については、こちらをご参照下さい。
私の場合、教室に一人一人呼ばれて、コンピューターCD-ROMを使った試験となりました。
合否はその場で分かり、合格すれば、路上教習のスケジュールが組まれます。
(4) 路上教習 kurs praktyczny
規定の受講時間は、30時間(1時間=60分)です。
日本のように、スクール敷地内での技能教習はなく、いきなり路上教習になります。
駐車、転回、車庫入れ、ほとんど全ての技術教習が実際に町中で行われます。
多くの教習車は、本試験で用いられるのと同じ車種が導入されており、我が町では、公式の指定車種である『Peugeot 207』で統一しているスクールが圧倒多数です。

路上教習は、技能試験に基づいた内容で、その場その場で「転回」「左折」「駐車」といった指示が出されます。
日本の教習と同じように、インストラクターが助手席に座り、補助ブレーキを踏んでくれます。
時にはハンドルも切ってくれます。
いきなり路上教習で、事故が起きないのが不思議なくらいです。
技能試験の第一段階である Plac manewrowy (L字型のコースをバックで走行する) については、指定の練習場で行われます。

すべての教習が修了したら、本試験の申し込みに必要な修了証明書や書類一式がスクールから発行されます。
(5) 本試験の申し込み
学科試験 Egzamin teoretyczny および 技能試験 Egzamin praktyczny は、
通称『WORD』=Wojewódzki Ośrodek Ruchu Drogowego(kontoroli prawy jazdy )県立道路センターで行われます。
試験の申し込みには、スクールで発行された修了証明書、Karta Pobytu(身分証)、PASEL(社会保険番号)、左側面の顔写真3,5 x 4,5 cm が必要です。
現在、申込者が非常に多いため、試験日まで3週間~1ヶ月以上待たなければなりません。
その間は運転できないので、技能に自信のない方は、試験日の前に数時間、補習を受けた方がいいと思います。
試験料 Cennik egzaminów は、各自治体のWORDのホームページでチェックすることが出来ます。
私の場合、学科+技能試験あわせて134PLNでした。
再試験の場合も、同じ料金がかかります。
※ 試験までの待機日数が長すぎることは、各自治体で大きな問題となっており、現在も様々な改善策がなされています。
私の住んでいる自治体では、2009年度より、受講修了から最初の試験までの日程を最長でも1週間程度に短縮する方向で検討されています。
(6) 学科+技能試験 Egzamin teoretyczny + Egzamin praktyczny
学科試験は、センター内の教室で行われます。
490問の想定問題から任意に抽出された18問のうち、16問を正解すれば合格です。
合否はその場で分かります。
合格率は、80%前後です。
多くは、コンピュータによる試験になりますが、場所によっては、ZESTAWと呼ばれる27枚の問題用紙の中から1枚が任意に配られるペーパーテストもあります。
試験の内容はコンピュータと同じで、18問中16問を正解すれば合格です。
技能試験は、3人1組が1台の車に割り当てられ、順次、試験を受ける形になります。
試験官より「何番の車に乗車、何番目に受験」といった説明があります。
コースはあらかじめ定められており、試験会場のどこかに大きく張り出されていますので、申し込みをした際に確認するといいと思います。
これは一例です。

転回、左折、停止など、各技能について「Pozytywny(可)」「Negatywny(否)」の判定がなされます。
コースの白線を踏んだり、坂道発進で20センチ以上後退したり、停止線を超えたり、絶対的にやってはいけないミスをした場合、またNegatywnyが余りにも多い場合は、その場で試験は中止。
試験官に運転席を返して、センターまで連れ戻されます。
(場合によっては試験開始から1分でアウトになることも・・厳しいです)
全ての項目をPozytywnyでクリアした場合、コースを完走してセンターの出発点に戻ってきます。
試験官より『合格』の説明があります。
この後、センターで資料が作成され、自治体の交通課に送付されます。
受験者が特別に手続きをする必要はありません。
合格から2週間ほど後、交通課より「免許証が作成できた」という個人宛の通知があります。
(7) 交通課での手続き→免許の交付
試験に合格したら、市の交通課で免許交付の手続きをします。
必要書類は、試験場から交通課に直接回されるので、こちらから持参するのはKarta Pobytuのみです。
発行に必要な料金は70PLNほどです。
免許証は、交通課に直接受け取りに行ってもいいですし、郵送してもらうこともできます。
どちらにするかは、試験の申し込みの際、選択することが出来ます。
これで、無事、免許取得となります。
全過程に要する時間は、早くても3ヶ月、長ければ半年以上かかります。
一発合格を目指して、頑張りましょう!!
§ ポーランドの交通事情について
場所にもよりますが、ワルシャワやクラクフといった大都市の場合、トラム(市電)が走り、交通量もかなりのものになりますので(観光客も多い)、初心者にはなかなか難しいかもしれません。
町中になれば渋滞もすごいですし、道路が入り組んでいる場所や道路標示の見にくい箇所もあり、1本曲がる場所を間違えば、まったく見当違いの場所に迷い込んでしまうことがあります。
地方の小都市になると、交通量も歩行者もぐっと減り、渋滞もほとんどありません。
道路幅も日本に比べてはるかに広く、バスが駐停車するスペースや、右折から本線に乗り入れるためのスペースなどもたっぷりありますので、日本の大都市に比べれば走りやすいです。
しかし、日本では馴染みのないロンド(環状道路)や右折信号などは、慣れないと合流のタイミングを掴むのが難しいかもしれません。
また、町中でも信号のない交差点が多く、優先道路標識による交通整理がなされますので、これを瞬時に見分け、状況判断する能力が必要です。
普通の交差点と勘違いしてうっかり進入してしまうと、右方や左方から来る優先車両に気付かず、横から当てられる危険性が大です。
こちらに具体例があります
また、夜間は町中でも照明が暗く、郊外に行くと真っ暗な所が大半です。
車線や路肩の見分けがつきにくく、慣れたドライバーでも「怖い」と感じるほどです。
そのくせ、地元の人は猛スピードで飛ばしていくので、郊外での夜間の運転は特に注意が必要です。
ドライバーのマナーに関しては概ね良いと思いますが、比較的車両の少ない地方都市では、少しでも空いたスペースがあると、どんどん車線変更して、次々に車両を追い抜いていく『飛ばし屋』が非常に多いです。
中には、方向指示器を出さずにいきなり車線変更したり、車一台分ぐらいのスペースしかないのに強引に割り込んでくる人もあります。
なまじ車両が少なく、道路が広くて走りやすいが為に、『後方およびサイドミラーの確認』という基礎的なことを抜かして、勘だけで走行している車が本当にいるのです。
また、郊外の国道に行くと、ほとんどカーレースのようなノリで、二車線の道路に、瞬間的に四台の車両が並ぶということも珍しくありません。
山道では、馬車や農作業用トラクターが走っていることが多く、それを無理に追い抜こうとして、衝突事故を引き起こすケースもあります。
こうした暴走行為による巻き込み事故を防止する為にも、
危険を感じたら必ずローギアに落とし、安全に停止・再発進できるよう心がけること。
(無理にハイギアで切り抜けようとすると、途中でエンストを起こして、事故になりかねない)
合流地点では、たとえ停止しかかっている車でも信用しないこと。
(停まるのかな……と思っていたら、いきなりスピードアップして、割り込んでくる場合があります)
適切な車間距離を保つこと。
(路肩にパーキングエリアのある市中の道路では、走行中にいきなりスピードダウンし、方向指示器も出さずに路肩に乗り入れる車が少なくありません。不意の追突を避けるためにも、車間距離は十分にとりましょう。
また、車間距離が無駄に長いと、飛ばし屋が無茶な車線変更をして、どんどん割り込んでくることがありますので、注意が必要です。)
郊外の高速で調子に乗って飛ばさない。
ポーランドの郊外に行くと、ドイツのアウトバーンのように、時速100キロ以上で走れる(厳密には走ってはいけないのだが)『地べた高速』のような国道がたくさんあります。
しかし、高架式の道路と違い、100キロ以上で走る車の横を歩行者がとことこ歩いていたり、自転車に乗ったおじいさんがふら~っと飛び出してきたり、横断歩道の脇で子供がふざけたりしていることがありますので、地元の人と同じように調子に乗って飛ばさないことです。
場所によっては、道路に穴があいていたり、段差があったりして、軽い車両だと横転しやすいので、注意が必要です。
山道のカーブでセンターに寄りすぎない。
カーブの多い山道を猛スピードで走り抜けていく地元の車の中には、勢いあまってセンターラインを割り込んでくるものが少なくありません。
一車線でも、対向車の存在を予測せず、道のど真ん中を高速で走ってくる車もありますので、巻き添えを避ける為にも、山道では適切な速度を心がけ、センターに寄りすぎないことです。
事故になっても、むやみに謝らない。
アメリカでは、相手に過失があっても、こちらが「I’m Sorry」と謝ってしまうと、責任をなすられる事があります。
(過失を認めたとみなされる)
双方に過失が疑われる事故に関しては、警察や保険会社などが調査して、白黒がはっきりするまでは、自己判断で行動しないことです。
(「車庫入れの際、隣の車にぶつけた」「右折信号で歩行者に気付かず人身事故を起こした」というような、100パーセント自分に過失がある場合は別ですが)
自分は安全運転を心がけていても、いつ他人の巻き添えになるか分かりません。
ましてここは異国であり、相手に過失があっても、言葉で負けることもあります。
残念ながら、ポーランドにも悪質なドライバーは存在しますので、徹底した自己防衛が必要です。
ポーランド市内はバスの路線が充実し、普通に暮らす分には、運転免許がなくてもそれほど不自由には感じません。
しかし、一歩郊外に出るとバスの本数もぐっと減りますし、中距離・遠距離になると、バスも鉄道も早い時間に終業してしまったりと、日本よりはるかに不便な感は否めません。
レジャーや急用を考えると、やはり「車が運転できる」メリットは大きいですし、これを機会に、ぜひPrawo Jazdy(自動車免許)をゲットして下さい。

