Rosół (チキンスープ)を極める
ポーランド料理も数あるけれど、私が一番「極めたい!」と思うのが、 Rosół z Makaronem(ロスゥ・ズ・マカロネン)というヌードル入りのチキンスープです。
ポーランドに来て間もない頃、義父さんの家でご馳走になった時、「こんな美味しいものがこの世の中にあるのか」と感動して、二度も大盛りでおかわりしたぐらい。
しかも、そのスープが、鶏肉と野菜と塩・コショウだけ味付けされていると知り、二度びっくり。
その頃、私は、家庭のスープと言えば、固形ブイヨンを使うのが当然だと思っていたので、まさに肉と野菜だけでこれほど美味しい風味を煮出せるなんて、本当に信じられなかったのです。
それから、さっそく作り方を聞いて、自分でも何度かトライしてみたのですが、とにかく水っぽいし、独特のコクがない。
「肉と野菜を入れて、煮込むだけよ」というから、楽勝じゃん! と思っていたら、こういうスープこそ、肉の切り方、弱火の調節、野菜を入れるタイミングなどが微妙で難しいんですよね。
ちなみに、BARやレストランで出されるロスゥも、味の格差が本当に大きいです。
ヘタすると、ブイヨンだけで味付けしたようなスープが出てくることがあります。
・色が変に黄色い
・不自然な脂玉が浮いている
・鼻を近づけた時、化学的な刺激臭がする
・スープがやけに透明
こういうのは、ブイヨンだけ、あるいは多量のブイヨンで味付けしているケースが多いです。
見て、食べたら、分かる、という感じ。
これは本当に煮出してるなぁ、と分かるのは、刺激臭がなくて、スープ表面にモロモロした鶏肉の垢みたいなのがちょっと浮いている場合。
それに鶏肉を煮込んだ時の、コッテリした香りがすれば合格です。
大衆食堂のレトルト系ラーメンと達人ラーメンの風味の違いが分かる人なら、きっと気付くと思います。
とはいえ、塩・コショウだけで味付けするのって、最初はけっこう難しいんですよね。
水くさかったり、コクがなかったり。
「何が足りなかったんだろう」と毎回反省会です(笑)
だから私も最初の頃はずっとクノールの固形スープの素を足していました。
知人の話では、チキン味とビーフ味の2種類をチャンポンするとより美味しいそうです。
とはいえ、家族も大好物のロスゥ、食べるとたちまち汗が噴き出すほど燃費がよいので、夏の盛りにはちょっと作れません。
でも、ここ数日、天気が悪くて、気温も15度前後なので、久々に作ってみることにしました。
別記事「チキンスープ(ロスゥ・ズ・マカロネン) Rosół z makaronem」でも紹介していますが、改めて。
私はとにかく写真を撮るのがヘタなので、あまり美味しそうに見えませんが、気にせんでください^_^;
§ Sposóp(作り方)
まず、Noga(鶏モモ肉)とSkrzdło(出羽先)の付け根の骨の部分をカットし、骨の周りに包丁で深く切り込みを入れ、皮に切れ目を入れて、深鍋の底に敷き詰めます。
無責任で申し訳ないけど、この肉の量や組み合わせも個人の好みなんですね。
それぞれに独特の風味と臭気があるので、あまりNogaを使わない人もあるし。
他にも、Porcjaと呼ばれる鶏ガラ(丸一匹)を使う方法、牛のリブ肉や骨髄を使う方法、ウサギの骨と肉片を使う方法もあります。
が、私個人的には、鶏ガラや牛系は、臭みが強くなるのでパス。
Noga中心に煮込む方があっさりして好きです。
次に、好みの量の水を入れて、強火で一気に煮込みます。
そして、沸騰する直前で弱火にし、きれいにアクを取り除きます。
ここで煮立てたら一巻の終わりというか、スープが濁って風味が損なわれます。
アクが取り除けたら、ローレル、Ziele angelski、塩を加えて、弱火で1時間ほど煮込みます。
同時に野菜を入れる方法もありますね。でも、私の師匠は、「先に肉、それから野菜」と言っていました。
私もそれに従っています。
鶏肉を1時間ほど煮込んだら、丸洗いした人参(これが一番重要。絶対に皮は剥かない。葉の付け根の緑になった部分だけを切り落とす)、ピエトルシュカ、セル、玉ねぎを入れて、さらに1時間ほど煮込みます。
この時、野菜は丸ごと入れるのがポイントです。
王道はPoryと呼ばれるポロネギの白い部分を使うのですが、私がネギの臭みが苦手なので、うちは使いません。
他にキャベツを1/4個加えても美味しいです。
さらに手の込んだ上級テクニックとして、玉ねぎを直火であぶり、甘味を引き出してから鍋に入れる方法があります。(表面が黒く焦げるぐらい、かなり長い時間あぶります)
ロスゥが上達するコツは、それぞれの野菜のフレーバーを十分に理解し、自分好みに組み合わせることです。
達人は、途中で味見しながら、「甘味が足りない。もう少し玉ねぎを足しましょう」という感じで、味を調整します。
私はまだその域までいってません。
最後の10分ぐらいで、Natka Pietruszki やSeryといった青い香草を加えます。新人参の葉でも美味しいです。
それ以前に香草を入れる方法もありますが、緑ものは長時間煮すぎると苦みが出るので、やはり仕上げに使った方が美味しいです。
スープが煮込めたら、鶏肉は取り出し、塩・コショウ、グリル用のパウダー、タイムやローズマリーなどをふりかけて、グリル皿に並べ、オーブンで焼きます。
これでメインディッシュも一気に作れちゃう。
ポーランドの伝統的な日曜日メニューです。

ネットにトラディショナルな作り方が載っていました。
そうそう、この焦げ玉ねぎがポイントなんですね。
こちらのレシピでは、調理時間は『5時間』です。
利用する肉によっても煮込む時間は様々だし、ほんと、奥が深いね。
ポーランドもパウダーやパッケージのインスタントスープが充実して、ジューレックやボルシチもパウダーで済ます人が増えてきているようですが、ロスゥだけは、手作りした方が絶対に美味しいです。
ブイヨンやインスタントのロスゥは、とにかく化学臭が強くて、なんか粉水飲んでるような感じ。
私は気持ち悪くって、苦手です。
どうしてもブイヨンを使いたければ、クノールのゼリー状になったカップ入りがおすすめ。
いやな刺激臭が少なく、より自然な味に近いです。

ちなみに・・
何処に行けば美味しいポーランド料理が食べられるか、と言うと・・
郊外の県道沿いのKarczma(たいてい木造のログハウス風)がおすすめですよね。
特に、ドライブ馴れしたような車(その県道をよく知っていて、当地に詳しい)がたくさん停まっているお店はほとんどハズレなしです。
意外な狙い目は、BPやSTATOILといった、郊外の県道沿いにある大きなガソリンスタンド付属のBAR。
こういうお店は、地元の腕自慢のBabcia(おばあちゃん)が厨房に入っていて、「まさに伝統」「手作り」といった一品が出てくることがあります。
「このジューレック、自分でライ麦発酵させて作ってません??」みたいな。(→自分で発酵させる方法は、ジューレックの作り方 ~ライ麦を発酵させて本場の味を楽しむ~)
案外、観光地の洒落たレストランは、玄人風の味付けで、すぐに飽きちゃったりします。
ポーランド料理の面白いところは、作り方も材料も、ほんと人によってマチマチで、レシピを見ても「ここまで違うか?」というぐらい違ってたりする点でしょう。
たとえば、蕎麦や肉じゃが、天ぷらなど、日本の代表的な料理は、作り方も材料もそこまで大きく違わないし、注文してまったくイメージと異なるものが出てくることは少ないけれど、ポーランド料理の場合、たとえば、ジューレックだと、サワークリームを入れる人、赤系ではなく白いソーセージを使う人、野菜は一切入れない人、玉ねぎや人参を加える人、小麦粉でちょっとトロミをつける人、等々、いろんなやり方があって、同じようにレストランで注文しても、イメージとまったく違うものが出てくることがある、という点でしょう。
ビゴスでも、干しぶどうが入ってたり、トマトベースだったり、人参が入ってたり、なかったり、辛いのやら、甘いのやら、いつハズレを引くか、びくびくしながら注文しなきゃならんしね。
が、別の見方をすれば、それだけ発見も多く、自分好みのレシピを見つけた時の喜びはひとしお。
特に地方のイベントの屋台で、とんでもなく美味しいジューレックやビゴスに出会った時、ついそこのBabciaに作り方を聞かずにいない、
「なんてこたーない、肉と野菜を入れて煮込むだけよぉ」
と仰るけども、なんか違うの。絶対的に何かが違う。
秘伝の干しキノコでもPiwnica(地下室)で培養してんのかしら、と思うくらい。
いや、もう、あなた方こそ文化です、拝。
そこのお姉さん。ピエロギはコピトゥカはこうやって作るんですよ。
こういうのが抜群に美味いんだ。
ポーランドにお越しの際は、ぜひ地方にお立ち寄りくださいね☆








